看護師育成の核となる考え方はスポンサーシップ

中途採用看護師の学習を支える環境を実現するためには、
人材育成における新しい考え方である「スポンサーシップ」が核となってきます。

 

スポンサーといえば、商業的な意味をイメージします。

 

ですが、この「スポンサー」という言葉には、
金銭的な面だけではなく
あらゆる面から「一人前ではない人の支援」を引き受けるという意味があります。

 

つまり、スポンサーシップとは、
「その人が最高のパフォーマンスを行うことができるように、
相手の個性を見極め、それを承認し、発展させること」です。

 

人材育成における新しい人間関係のあり方として、
スポンサーシップは、モチベーションを強化するという点からも注目されています。

 

そして、この考え方は、
人材育成において、特に中途採用看護師を指導する立場の看護師に、
何を大切にすべきなのかを明確に示してくれています。

 

私たちヒトは、いろいろな出来事に対する相手の行動により、
自分が現在の環境とどのように向き合っているかを評価し手いるものです。

 

たとえば、中途採用看護師は「何を」教えられたかではなく、
「どのように教えられたか」によって、
さまざまな受け止め方をします。

 

具体的には、

 

 (1) 私はここで大切にされている。
 (2) 私はここにいても大丈夫。
 (3) 私はここでは無視されている。
 (4) 私はここでは迷惑をかけている。
 (5) 私はここでは問題だ。

 

というような受け止め方です。

 

そして、それをわかっているからこそ、
「私は毎日安心してここで働くことができる」と、
中途採用看護師に感じてもらうことができるように、
看護管理者や教育担当者は、「褒め」たり、「温かい雰囲気を作る」
などのやり方を、いろいろ工夫しています。

 

このような褒めたり、温かい雰囲気つくりはとても重要なのですが、
なぜ、それが人材育成において重要なのでしょう。

 

それは、ヒトは、(1)のように周囲から大切にされているというイメージや、
(2)のような周囲に対して安心だと感じると、
緊張から開放されます。

 

そして、穏やかな気持ちになり、
周りに対してある種の忠誠心を持つようになるとさえいわれています。

 

それはスポンサーシップが提供されている状態であるということができ、
モチベーションを育てる基本になります。

 

しかし、(3)のように無視されている、関心をもたれていないという気持ちを抱いていれば、
スポンサーシップが提供されている状態とはいえません。

 

このような時、ヒトは不安や心配、反発心、むなしさを抱きます。

 

(4)や(5)では、否定的なスポンサーシップがメッセージとして発信されています。

 

これは、恥ずかしさや悔しさ、悲しみ、罪悪感を喚起するかのようなメッセージです。

 

反発や罪悪感などの否定的な感情は、
一時的に中途採用看護師の「今にみていろ!」などという気持ちを煽り、
さまざまな努力に向かせることもあります。

 

そして、実際に、現在現場で働いている、指導的な立場にある多くの看護師は、
そのようにして自分を成長させてきたはずです。

 

ですが、この考え方では、
長期に安定的なモチベーションを維持することができず、
仕事上のストレスが増えてしまう一方であり、
次の世代の人材育成にも同じような悪循環を生じさせてしまうと考えられます。

 

何がお互いのためにとって合理的な方法でありやり方なのかは、
少し考えればわかります。

 

中途採用看護師教育で、
看護管理者や教育担当者に必要なスポンサーシップとは、
以下のようなものであると考えます。

 

・中途採用看護師の持つ基本資質や能力を見つけ、守ること。

 

・個人、または集団が、そのユニークな才能や個性を
最大限発揮できるような環境、支援、資源を提供すること。

 

スポンサーである看護管理者や、教育担当者は、
ロールモデル、つまり看護師たちのお手本であることに
こだわる必要はなく、
すべての看護師が自らの独自の能力や技術を、
大切にすべき個性として見出し、
それを看護実践で発展させ発揮するために、
お互いに励ましあい、環境を整え、
必要なときには資源を提供することが大切です。

 

受け入れ側の看護師たちの肯定的なスポンサーシップによって、
採用時には見られなかった中途採用看護師の能力や技術を引き出すことができ、
看護師としてのすばらしい活躍によって、
施設への還元をもたらすことが可能になるかもしれません。

 

このように考えれば、なぜ有効なのかがわからず、
「褒め」たり「声をかけて温かい雰囲気をつくる」という行為のみを追いかけても、
あまり意味がないことがわかります。

 

看護管理者や教育担当者は、
中途
採用看護師教育においては、
「何を重視すべきなのか、そして、そのビジョンと自らの役割」
について、明らかにしておくことが必要です。

 

これを根拠として、指導者の行動に力が与えられます。

 

つまり、「何をすべきか→なぜそれが必要なのか→どのようにやるか」を明らかにし、
これを、相手が実感を持って理解できるように繰り返し伝えることが重要です。