教育成果を臨床で発揮するのは個人の責任?

今までは、企業の人材育成において
個人の学習成果が組織のパフォーマンスの向上に結びつかないのは、
個人の責任にのみあるとされてきました。

 

職場の組織に起因する問題を問うこともなく、
「個人が、現場で実力を発揮できるレベルにまで達していない。」
「現場では役にたたないような知識・スキルを学んできた。」
というような個人の責任で片付けられてきたのです。

 

ですが、最近は、
「どのようにしたら研修で学んだ内容を現場で応用することができるか。」、
あるいは「現場で活かすことができる教育内容や教育方法はどのようにすればよいか。」など、
新たな教授法や教材の開発が進んでいます。

 

1990年代初頭には、レイブとウェンガーが、
革新的な枠組みを提唱しました。

 

それは「個人としての学習成果をいかに組織としての仕事に結びつけるか。」
という考えを否定したもので、
この問題の前提にある「学習と仕事」、「個人と組織」といった認識を変え、
「正統的周辺参加」という概念を提唱したものです。

 

「正統的周辺参加」という学習論は、
学習を共同体での活動への「参加」と捉えるということが、
今までの学習論とは異なる点です。

 

レイブとウェンガーは、
この「正統的周辺参加論」の中で、
「仕事の中の学びにこそ、本来の姿がある」と主張しています。

 

つまり、「学習したこと」を「業務に活かす」という従来の考え方ではなく、
「共通の目標達成のために集まり、業務を通じてチームに参加し、
自分の役割を認識し、価値の異なる人と議論しながら、
その仕事に参加することは豊かな学習である。」ということです。

 

このように考えれば、仕事の仕方次第で、
価値の高い学びにつながるというものになります。

 

ですから、中途採用看護師が「自分の担当業務をうまく遂行した。」
という個人レベルにとどまることなく、
「病棟全体にとって、良い結果が得られた。」、
あるいは「病棟全体に、良い成果を上げることができた。」
という組織レベルのものになることができるのです。