学習する組織

デイビッドA.ガービンらが提唱する「学習する組織」というものがあります。

 

この学習する組織の構成要素としては、
@学習を支える環境
A学習プロセスと学習行動
B学習を促進するリーダーシップ
の3つの要因に焦点が当てられます。

 

(1) 学習を支える環境を整備する

 

学習を支える環境を整備するためには、
まず、「精神的に安全である」という環境が必要です。

 

中途採用看護師が素朴な疑問や意見を述べたとき、
煙たがられたり、意見を無視されるような状況では、
学習はできません。

 

自分の業務について、
気軽に意見を言うことができる環境が必要です。

 

次に「意見や価値の違いを尊重する」ムードも必要です。

 

中途採用看護師が、
以前働いていた施設とのやり方の違いや意見を教えてもらった際、
お互いに異なる価値観を認め合うことができなければなりません。

 

それは今後、予想もしないような問題が起きたときに行動できることが増えます。
そして、新しい発想に結びつけることができる良い機会になるでしょう。

 

「よそはよそ、うちはうち」という考えでは、
急激に変化する医療に対応することができず
選択肢が狭くなってしまいます。

 

また、「内省の時間」を積極的にとることも必要です。

 

看護師の業務は多忙を極めます。
過剰なストレスに犯されると、
自分が行った看護実践を振り返って分析し、
今後の課題を見出すことができなくなります。

 

看護実践の中で、
業務を振り返る時期を確保すること、
業務のプロセスを敢闘することによって、
学習を支える環境づくりができます。

 

(2) 学習プロセスと学習行動を理解する

 

新卒看護師や、中途採用看護師に、
この施設の部署のやり方を教え込むことだけが
教育担当者の役割ではありません。

 

近年の教育学、認知心理学の分野においては、
「学習者(この場合は中途採用看護師)は、
知識を伝達されるためだけに存在するのではなく、
他社との相互作用から経験を意味づけ、
自分で知識を作り上げて構成していくものである」
という考えが主流です。

 

つまり、「教え中心」であり、
「教育者・指導者中心」の教育から、
「学習者(中途採用看護師)中心」の学習支援へと
考え方が転換し、その考え方が活発化しています。

 

看護の現場でも、今までは、教育者や指導者中心の知識伝達が
主流の教育となっていました。
そして、その知識を覚えることが好ましいとされてきました。

 

ですが、それでは看護学生の学習方法が記憶中心となり、
思考しなくなってしまうことが問題視されるようになり、
教育方法を考え直すべきだという議論が高まりました。

 

そこで、学生と教師の相互作用を通し、
お互いが学ぶ力を発揮することができるように
カリキュラムは柔軟性に富んだもの隣、
総合的で実践的な発想への転換が図られ、
アメリカでは1987年に「カリキュラム・レボリューション」が発表されました。

 

さらに、「ケアリングカリキュラム」においても、
カリキュラムとは学習を起こすという意図を持った学生と、
教育の相互作用であり交流であると指摘されています。

 

看護職は、専門職業です。

 

専門職業としての看護職を育成するには、
知識や技術、態度をいかに教えるかということだけでなく、
本人が自ら学び、知識や技術を修得し成長することを
いかに支援するかにあるのだといえます。

 

この考えに立ってみると、
新卒看護師であっても、中途採用看護師であっても、
「何を考えるか」、「どのように学習を支援するか」という発想が
必要であることがわかります。

 

また、オトナの学習として、
「成人教育学者の諸理論」をまとめた「P-Marge」の提唱も参考になります。

 

P: Learners are Pracical.

 

オトナの学習者は、実利的である。

 

M: Learmers needs Motivatioin.

 

オトナの学習者は動機を必要とする。

 

A: Learners are Autonomous.

 

オトナの学習者は自律的である。

 

R: Learmers needs Relevancy.

 

オトナの学習者は関連性を必要とする。

 

G: Learners are Goal-oriented.

 

オトナの学習者は目的志向性が高い。

 

E: Learners has life Experiene.

 

オトナの学習者には豊富な人生経験がある。

 

 

オトナは、現実の臨床における課題を解決するため、
必要性を感じたときに学びたいと考えます。

 

つまり、業務や役割を遂行する上で生じた疑問、問題を解決したいときなどに、
学ぶべき内容に関連性を見出します。

 

そのため、ただ学習する、ただ勉強するということに
価値を見出すことができません。

 

必要にさまられるなど、何らかの学習動機が明確になって
初めて学ぼうとするというものです。

 

また、コドモは、教育者主導の学習ですが、
オトナの学習は自発的で、学ぶ内容は自分で決めたいと考えます。

 

そして、自分の経験を学習の中で活かしたいと考えます。

 

たくさんの経験を有している中途採用看護師を育てるためには、
その学びの特性をよく理解することが大切です。

 

そして、その特性をより強化することを考えるべきなのです。

 

たとえば、「そのやり方はおかしい。」、「定時に帰宅したい。」など、
中途採用者看護師の自分勝手な主張だと思われるようなことであっても、
それをクリアするためには、何ができるのか、
それに対してどのようなサポートができるのかなど、
その人の問題や課題を解決する大きな学習機会にすることも必要です。

 

(3) 知識共有としての学習

 

学習プロセスは、さまざまな捉え方があります。

 

ですが、ここでは、シンプルに、学習を知識獲得のプロセスと捉えましょう。

 

知識獲得のプロセスは、「知識の創造」、「収集」、
「解釈」、「共有」という4つの側面があります。

 

 

知識はさまざまな形で作り出されます。

 

またすでにあるいろいろな事実として集められた知識もあります。

 

これらの知識についての解釈では、
問題の発見や解析を見出す分析が行われます。

 

そして、最後に、必要だと判断された知識を
能力開発の教育や研修の形で共有します。

 

この共有によって、効果的に知識を獲得することが可能になります。

 

このようなことから、
学習は、「何かを暗記すること」や「やり方を覚えておく」という
行動のひとつの側面をと絶えるものではなく、
プロセスであることがわかります。

 

中途採用看護師の教育では、
今、部署で必要な知識や技術を獲得するためには、
マニュアルを暗記することが必要ではなく、
教育担当者や看護管理者と中途採用看護師が
共にプロセスを歩むことが求められます。